高圧ガス保安法

HIGH PRESSURE GAS SAFETY ACT

法定検査とメンテナンス
【第一種ガス製造設備編 】

高圧ガス製造者には、高圧ガス保安法上、様々な検査が義務づけられています。特に、高圧ガスを製造する機械において定期的なメンテナンス・オーバーホールは欠かせません。ここでは、検査の法的な根拠や、メンテナンスの必要性について解説します。
当社では、空気用、不活性ガス用のコンプレッサーを主軸として取り扱っておりますので、ここで説明する内容は、高圧空気、高圧不活性ガスの圧縮に関する部分に限ります。

1.第一種ガス製造設備編について

ここで説明する内容は、主に空気を中心とした第一種ガス(※)の製造に関わる法定検査などに関係する部分だけに限ります。第一種ガスの圧縮による製造以外のことにつきましては、法の適用が異なる場合があります。各都道府県の高圧ガス担当部署にお問い合わせください。
※第一種ガスとは、空気、二酸化炭素、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、ラドン、クリプトン、キセノン、フルオロカーボン(フロンガスのこと、ただし可燃性のものを除く)です〔施行令三条〕。

2.技術上の基準を維持する義務とその検査

高圧ガス保安法において、すべての高圧ガス製造者には、「施設を技術上の基準に適合するように維持する」ように義務づけられています〔第一種製造者 : 法十一条、第二種製造者 : 法十二条〕。そして、それが本当に維持されているかどうかの検査が、製造装置の「処理量」や「定置式/移動式の違い」によって、下表の通り様々に定められています。

処理量 30 m3/日未満 30 m3/日以上
300 m3/日未満
300 m3/日以上
定置式/移動式の別 定置式 移動式 定置式 移動式 定置式 移動式
高圧ガス保安法上の分類 第二種製造者 第一種製造者
当社製品で該当する
コンプレッサーの例*1
PHC-AS
PHC-3A
YS-55
YS-75
YS-85 *3
YS-85 *3、YS-85V
維持すべき技術上の基準*2
〔一般則○条〕
十二条
一号
十二条
二号
十一条
一号
十一条
四号
六条
1項
八条
1項
義務づけられている検査 定期自主検査 義務 義務
期間 1年 1年
保安検査 義務
期間 2年
(「保安検査」参照)
開放検査 義務
期間 3年
メンテナンス *4 1年ごとを推奨
オーバーホール *4 3年ごとを推奨

*1 該当するコンプレッサー

これは、当社のコンプレッサーが、1事業所内に1台だけある場合の例です。 コンプレッサーが複数ある場合は、配管がつながっているかどうかによって、下記の通りに分類されます。

*2 技術上の基準

「技術上の基準」は、第一種/第二種製造者や定置式/移動式といった法律上の区分によって異なり(表を参照)、また、お客様の事業形態に沿って作成されるべきものです。 第一種製造者なら、都道府県に許可申請をしたとき、また、第二種製造者なら、都道府県に届出を出したとき、必ず添付してあります。具体的な内容は、許可申請書、届書の控えなどでご確認ください。

複数のコンプレッサーが配管でつながっていない場合
個々のコンプレッサーの処理量のうち、最も処理量の大きいものが300m3/日未満であれば、事業所全体が第二種製造者となります。
複数のコンプレッサーが配管でつながっている場合
配管でつながっているもの同士を1グループとみなし、同一グループ内のコンプレッサーの処理量を合算します。そのうち、最も処理量の大きいグループが300m3/日未満であれば、事業所全体が第二種製造者となります。

*3 YS-85の処理量

YS-85は、回転数により2種類あります。

475rpmタイプ
処理量:297 m3/日 (1事業所に1台だけなら第二種製造者相当)
550rpmタイプ
処理量:343 m3/日 (1事業所に1台だけなら第一種製造者相当)

上記*1を合わせてお読みの上、お客様の事業所の処理量は、申請書、成績書などで、必ずご確認ください。

*4 メンテナンスとオーバーホール

当社では、「メンテナンス」と「オーバーホール」という言葉を、下記のとおり使い分けています。

メンテナンス
出張でも対応可能な程度の軽度な現地整備
(定期自主検査と合わせて承ることが多い)
オーバーホール
出張では対応できず、当社にお預させていただき施行する整備
(開放検査と合わせて承ることが多い)

3.定期自主検査について

処理量30m3/day以上の製造者は、定期自主検査を行い〔法三十五条の二 一般則八十三条〕、それが本当に維持されているかどうかを、事業所ご自身で確認しなくてはなりません(*1ただし、耐圧試験に係るものは除く)〔一般則八十三条3項〕。
定期自主検査は、きちんと確認ができればどのような方法でも構わないので、その施行方法は、法的には特に定められていません。とはいえ、「どのような方法でも、と言われても、いったいどうしたものか?」という方も多いと思いますので、「このような方法はいかがですか」という指針が出ています。
こちらの指針が記述されているのは、定期自主検査だけでなく保安検査のことも記述された冊子【保安検査基準・定期自主検査指針 一般高圧ガス保安規則関係(スタンド及びコールド・エバポレータ関係を除く。) KHKS 0850-1・KHKS 1850-1(2017)】です。内容に興味のある方は高圧ガス保安協会よりお買い求めください。

*1 耐圧試験に係るもの(定置式の場合)

高圧ガス設備は,下記のどちらかの耐圧試験に合格するものとします.
常用の圧力の1.5倍以上の圧力で,水圧で行う耐圧試験
通産大臣が認める者(高圧ガス保安協会など)が行う耐圧試験
高圧ガス設備は,下記のどちらかの強度があるものとします.
特定則十二条に基づく強度を有し,例示基準による計算値以上のもの
高圧ガス保安協会の証明を受けたもの

お客様自身では施工が困難な項目について 安全弁・圧力計の検査

安全弁・圧力計の検査〔一般則六条1項十九号〕には、専用の検査器具が必要であり、これらは、お客様ご自身では確認できないと思います。そこで、安全弁・圧力計の検査は、当社、または、高圧ガス保安法に精通し、技術的にも信頼のおける専門業者にご依頼ください。また、コンプレッサーが移動式の場合は、安全弁・圧力計の定期自主検査の必要はありませんが、安全性の観点から、定置式と同様に安全弁・圧力計の検査をお受けになることを、強くお勧めいたします。

4.定期自主検査を当社にご依頼いただく場合

定期自主検査を当社にご依頼いただくご要望がございましたら、ご連絡ください。設備の規模や、ご近郊かご遠方かなどの条件により、お見積りさせていただきます。また、当社で定期自主検査を承る場合、その範囲は、コンプレッサーの技術的な部分に限定させていただきます。予めご了承ください。

5.保安検査(第一種製造者のみ)

保安検査は、各都道府県の高圧ガス担当部署の検査官が、立ち入り検査をします。また、定期自主検査では免除された「耐圧試験にかかるもの」は保安検査では施工する必要があります。保安検査の方法は、〔法代三十五条4項、一般測八十二条2項、保安検査告示の表の三〕に定められており、それによると、【高圧ガス保安協会規格KHKS 0850-1(2017)保安検査基準 】に従うことになります。こちらが記述されている冊子と定期自主検査の項目で紹介した冊子は同一のものです。内容に興味のある方は高圧ガス保安協会よりお買い求めください。

6.開放検査(第一種製造者のみ)

よく「開放検査」という言葉を耳にすると思いますが、これは俗称です。定期自主検査では「耐圧試験に係るもの」とされていた(1)と(2)を、保安検査では施工しなければなりませんが、このことを俗に開放検査と呼んでいます。
開放検査は、機械をすべて分解し、肉厚の測定をしたり、強度劣化や致命的なキズがないか検査をします。一般的には、お客様ご自身の手に負える内容ではありません。高圧ガス保安法に精通し、技術的にも信頼のおけるメーカーまたは専門の業者にご依頼いただくことになります。 ただし、機械をすべて分解するとなれば、単に検査(合否の判定)だけでなく、ご一緒にオーバーホールもやってしまう方が得策です。そのことを考え合わせると、メーカーである当社にお任せいただくのが最も合理的であると考えます。

7.メンテナンスとオーバーホール

検査は安全性を維持するためですから、法律に細かい規定がありますが、メンテナンスとオーバーホールは性能を維持するだけですから、法的には何の規定もありません。
高圧コンプレッサーは、ご使用いただく期間が長くなればなるほど、各部の消耗が進んで性能が低下し、また、故障が起こりやすくなります。そして、ひとたび故障が起こったとき、修理に時間もお金も余計にかかるようになる傾向にあります。逆に、定期的にメンテナンス・オーバーホールしていただけば、常にベストな状態を維持し、長い目で見れば、費用を最小限に抑えることができます。また、突然の故障と比べて、機器が稼働できなくなる期日をあらかじめ予定できるので、事前に対応を考え、体制を整えておくことができます。法的には何の規制もありませんが、上記のような観点から・・・
* 当社に引き取ってのオーバーホール 3年に1度程度
* 現地に出張してのメンテナンス 1年に1度(上記オーバーホールの年を除く)・・・をお勧めいたします。